6.9
満を持し社内ベンチャー応募
パナソニックには平成4年に入社しました。
配属先は「生活システム研究センター」(現在のくらし環境開発センター)。
冷凍空調関係のグループで、エアコンや冷蔵庫などの研究に取り組みました。
私は仕事において、自分の存在意味が示せる仕事がしたいと思っていました。
少なくとも会社生活の中でいくつかは「この商品、この技術は松尾がいたから実現した」と言われるような仕事がしたかったのです。
入社当時は代替フロンを使ったエアコンや冷蔵庫の研究を担当。
それが一段落すると「地球温暖化」「省エネ」がグループのテーマとなり、地球環境にかかわる研究に携われたことは幸せでした。
ただ、「こんな研究をしてみたらどうでしょう?」とグループの中で何度もアイデアを出したのですが、大半がすでに研究し尽くされ、採用されませんでした。
当時の上司は大きな成果を出しており、その秘訣(ひけつ)をたずねると「社内で、まだ誰もやってないことを見つけて1人で研究した。そのうち世の中の流れに合うようになり、大きな成果になった」と教えられました。
入社5、6年目にこの話を聞き、「今の研究分野をきわめるのか。少し異なる専門領域で第一人者となるか。それとも会社が全く手がけていない分野に挑むか」と問い直しました。
そんな中、父親が難病に侵され、苦労しているのを目の当たりにして、未知の世界だった「福祉」という領域でも、パナソニックにできることがあるのではという考えにたどり着いたのです。
そこで新規研究テーマの検討委員会に「福祉」を提案してみたのですが、当時は福祉機器の販売ルートがなく、結果は不採用。
その後4年間は、これまで通り冷凍空調関係の研究に取り組んでいました。
そんな中、13年1月に当時の中村邦夫社長(現会長)が社内ベンチャー制度「パナソニック・スピンアップ・ファンド」を創設すると発表、同年4月に制度がスタート。
私は約1年間かけて、どのようなビジネスが可能なのか、福祉機器の会社を立ち上げるには何が必要なのかを病院関係者や父親と同じ筋委縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の患者さんの話を聞き、調査を進めました。
そして14年3月に制度に応募し、翌年(15年)6月に「ファンコム」を設立しました。
ファンコム社長 松尾 光晴さん(43) (2)研究者時代
テーマ : ALS(筋萎縮性側索硬化症) - ジャンル : 福祉・ボランティア
タグ : 筋委縮(いしゅく)性側索硬化症 ALS 福祉