6.22
全身の筋力が低下する原因不明の難病、筋萎縮(いしゅく)側索硬化症(ALS)を患う出雲市塩冶町の高橋賢耳さん(60)が、主宰する劇団「ギミック」の舞台指導に再挑戦している。
発症で一度は遠ざかった演劇だが、周囲の求めに応えて発起した。
演出する舞台は、これまでの人生で培った死生観を投影した時代劇「富姫の恋」。
28日の公演に向け、熱を帯びる稽古(けいこ)に、高橋さんは熱い視線を注ぐ。
体に変化が現れたのが2007年夏。
左手の親指の力が弱くなり、ライターで火がつけられなくなった。
検査を重ね、診断が確定したのは昨年1月。
泉鏡花の名作「天守物語」と「夜叉ヶ池」を脚色した台本を書き上げたところで、やむを得ず劇団活動から離脱することになった。
舞台に引き戻したのは団員の声。
新たな台本をお蔵入りさせれば、次の舞台を待っていた団員を裏切ることになる、との思いもあった。
昨年10月、妻典子さん(53)の車いす介助を受け、再び団員らと向き合う。
「富姫の恋」は、理不尽であっても主従関係を重んじる若い武士と、掟(おきて)に縛られる人間界を冷ややかに眺める妖怪が、次第に恋に落ちていく物語。
無常観と死生観を投影した舞台に、高橋さんは「病気になったことで、より演出に深みが出た気がする」と穏やかな表情を浮かべる。
昨年10月に再開された稽古は、本番を間近に控えて今が佳境。
「目先のことだけにとらわれず、宇宙を含め、もっと広く、日常的な生活観を見つめ直してみませんか、というメッセージを伝えたい」。
言葉が出にくくなった高橋さんは、典子さんを介在し、団員の一挙手一投足に指示を出す。
公演は、出雲市駅南町のビッグハート出雲で、午後3時と同7時からの2回。
前売り券は2千円(当日2500円)。
ALS患者の高橋さん、再び舞台演出に挑戦
テーマ : ALS(筋萎縮性側索硬化症) - ジャンル : 福祉・ボランティア
タグ : 萎縮(いしゅく)側索硬化症 ALS 劇団ギミック