7.13
臓器移植法改正案A案が参院で可決、成立したことを受け、A案提出者の国会議員やA案支持の患者団体などは7月13日、記者会見を開いた。
議員や学会関係者らは、A案の成立を評価した上で、今後の移植医療の推進に向けた体制整備が必要だと指摘した。
一方、A案に反対する「臓器移植法改悪に反対する市民ネットワーク」なども同日、記者会見を開き、「納得はいかないが、A案によって命の線引きが行われてはならない」として、「臓器提供者の救命治療を打ち切るなどの人権侵害を起こさない」など6項目の実現を要求していく考えを示した。
衆院第二議員会館で開いた会見で、A案提出者の中山太郎衆院議員(自民)は、「心からうれしく思う」と感想を述べた。
日本移植学会の高原史郎副理事長も、同学会の声明文を読み上げ、A案可決に対する「謝意」を表明。
A案支持の患者団体や患者の家族も、「大きな扉が一つ開いた」などと述べた。
また、河野太郎衆院議員(自民)は、「(まだ)ワールドカップの出場権を獲得したところ」だとし、移植医療を推進するための体制整備が必要だと指摘。
心臓血管外科医で同学会の臓器移植法改正特別委員会の委員を務める福嶌教偉氏は、
▽ドナー側へのインフォームド・コンセントのための体制整備
▽小児の脳死判定基準の整備▽ドナーの家族のケアを行うシステムの構築
▽小児救急医療の整備
などが今後の課題だと述べた。
特に、ドナー側への説明を担う臓器移植コーディネーターは現在21人しかいないため、育成を進める必要があると訴えた。
一方、A案に反対する立場から、「全国交通事故遺族の会」らが参加する「臓器移植法改悪に反対する市民ネットワーク」と、生命倫理の教育や研究に携わる大学教員71人が参加する「生命倫理会議」の2団体も、参院議員会館で記者会見を開いた。
「臓器移植法改悪に反対する市民ネットワーク」事務局の川見公子氏は、A案成立を受けて、「あっけなく終わってしまったので呆然としている」と落胆の表情。
解散総選挙ありきで十分な審議がなされなかったとも指摘し、「納得はいかないが、A案によって命の線引きが行われてはならない」と訴えた。
今後は同ネットワークで、
▽「脳死は人の死か」の議論を広範に起こす
▽「脳死」診断後の治療や医療費の打ち切りをしない
▽臓器提供者の救命治療を打ち切るなどの人権侵害を起こさない
など6項目の実現を要求していくとした。
また、生命倫理会議は、「厳密な脳死判定後にも長期脳死の実例がある、という事実が直視されなかった」「ドナーとなる子どもへの虐待の有無を判別する難しさが認識されなかった」などとする、A案成立に抗議する声明を発表した。
同会議の代表を務める東京海洋大の小松美彦教授は、「長期脳死の可能性があるにもかかわらず法的脳死判定によって死と規定することは、医師の回復不能診断を死亡診断と認めることに他ならない」と指摘し、そうした考え方が植物状態の人や筋委縮性側索硬化症(ALS)の患者などに拡大していく可能性が開かれたと懸念を示した。
臓器移植法成立受け、賛成派と反対派が会見
テーマ : ALS(筋萎縮性側索硬化症) - ジャンル : 福祉・ボランティア
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